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学校長挨拶
暁の星に導かれて!
キリストが弟子たちに「全世界に行ってすべての人に福音を告げ知らせなさい」と命じられた時から現代にいたるまで、多くの宣教師たちがその言葉を実現するために、全世界の隅々にまでキリストの福音、「よい知らせ」を携えて出かけています。暁星学園の設立母体である男子修道会「マリア会」も、5名の宣教師を日本に派遣し、主に「教育」の分野で宣教に携わることになりました。1888年、日本到着後時を待たずして、日本におけるマリア会の宣教事業が「暁星学校」として東京築地で始まりました。その日から134年の月日が流れています
現代社会は多種多様な価値観と情報技術の発達により世界が身近になると同時に、価値観の多様化によって人間関係が不安定になるとともに、「わたし」という存在そのものに真の価値を見出せなくなり、他者との比較の中でしか自分を評価できなくなっています。それは「教育」という名のもとでも、ある事柄の出来不出来によって、「ひと」の評価がなされています。
創世記の1章31節に、「神はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった。」と記されています。この言葉は皆さんにどのように響いているでしょうか。創造主である神が、被造物すべてを眺めておっしゃった言葉は、「極めて良かった」です。被造物である私たちは、「よいもの」と創造主に保証されているのです。人がなんと言おうと、存在そのものが創造主に保証された存在なのです。
暁星は、創立以来多様性を重んじ、それぞれが持つ価値を豊かに表現できる環境のもと、一人ひとりの「人格形成」を大切にしてきました。フランス語、英語を窓口として世界の文化との接点を築き、視野を広げるための語学教育、自分が受けたものを他者のために用いる奉仕の精神を育むこと。さらに、それだけに満足するのではなく、その事実を通して、人が豊かになり本来の在り方に近づく姿を、自分の喜びや幸せとして感じることのできる人間を育てることが、本校の教育目標です。
多くの卒業生が現代社会の中で、様々な分野でこのような思いを胸に活躍していることは、本校の大切な財産であると同時に「教育」の実りであります。
このことは、まさに神が「すべてはよい」と確証してくださった実りであり、キリストが「すべての人に福音(良い知らせ)を伝えなさい」と仰ったことの体現に他なりません。
5名の宣教師から始まった本校の「教育」は、今やそれによって形作られた、新たな「宣教師」によって、全世界に広がっています。
大海原を行く船が、星を目印に目的地に到達するように、あかつきの星、マリアを意味する「暁星」と名付けられた学校の生徒は、聖母マリアの導きによって自分の目指す目的地に到達することでしょう。
現実と理想のギャップを埋めることは簡単ではありませんが、積み重ねてきた歴史と、現在の姿、そして未来への希望を携えて、「暁星」の使命を果たすべく邁進したいと思います。
暁星中学校・高等学校長
髙田裕和